英語わからへん。5歳に言われた日のこと。
5歳の息子が、ポツリと言いました。
「英語わからへん」
幼稚園のお迎えの帰り道。私と息子の2人だけ、誰も周りにいない場所で。
後から知りました。日本人だけど英語が話せるお父さんが、長男に英語で話しかけてくださっていたと。
長男は、答えられなかった。
家に帰ってから、もう一度、ぽつりと。
「○○ちゃんのお父さん、英語喋れるねん。日本人やけど。でも僕はこたえられなかった」
5歳が、自分の置かれているポジションをそっと察した日でした。
全部読む時間がない人へ(先に結論だけ)
- うちは 日本人ママ・アメリカ人パパ・5歳と3歳の息子 の国際家族
- 子供たちは外見はバイリンガル国際家族の子、 中身は完全に関西弁ネイティブ
- 「英語喋れる子」として見られて、 「英語わからへん」と関西弁で返してしまう
- 家での英語維持、 特別なことはほぼしていません
- 移住2ヶ月目。母の中で、 まだ答えは出ていません
うちのバイリンガル環境
- ママ:日本人。関西人。日本語と日本語混じりの英語で話す。
- パパ:アメリカ人。永住権申請中。 なぜかYouTubeで関西弁を独学している。
- 長男(5歳)・次男(3歳):完全に関西弁ネイティブ。パパの英語は理解する。答えはほぼ全部、日本語で返す。
- 住んでいる場所:大阪から2026年4月に引っ越してきた、山に囲まれた小さな町。
- 保育園:日本語オンリー。先生も友達も全員日本語。
つまり、 「家にしか英語の入力がない」 タイプの典型的バイリンガル子育て家庭です。
子供たちの言語実験室
子供は、大人が予想しない組み合わせで言葉を作ってきます。
3歳・次男の自作言語理論
最近、次男の中で流行っているのが、 「○○は英語で言うと〜」 という構文。
「飛行機は英語で言うと、 エアプレイン」
おお、合ってる。
「お散歩は英語で言うと、 オーさんぽっ」
…合ってない。
3歳児の脳内で、 「英語化=オーをつける」 という独自理論が完成しているっぽい。本人は完全に真顔で、これが正しいと信じて疑わない。 訂正する気にもなれません。
5歳・長男の「虫だけ英語」
長男は、虫だけは英語名で言ってきます。
「ローリーポーリーおった」
ダンゴムシのことです。 英語の単語+関西弁の動詞活用、完璧な合体形。たぶんパパが教えてくれたんでしょう。
虫だけ、なぜか。
地方ならではの「課題」と、思いがけない「恩恵」
地方は、英会話教室は少ないし、英語を日常的に話す同年代の子供にもほぼ会いません。これは確かに課題。
ところが、ここに移住してきて気づいたのは、 英語を「教科書」ではなく「週末の井戸端会話の言語」として使う小さなコミュニティ が、この町には存在するということでした。「英会話」じゃない。 お互いの暮らしの話を、英語でする 場所。
その効果は、最初は 冒頭シーンのかたちで 現れました。「ハロー」で十分だった大阪では起きなかった、 「あなた、英語で答えなさい」と無言で期待される瞬間 が、ここでは起きる。
これは、 大変だけど、ありがたい大変さ だと思っています。
家でやっていること(とやっていないこと)
正直に書きます。
- パパの英語ルール:パパが英語で聞く → 子供が日本語で答える → パパが英語の言い方をやって見せる → 子供が真似する、 時々は。
- 真似しない時もある:「わからない」と言って日本語に戻る。それも自由。
- 英語の絵本:あります。 読み聞かせは親が続かなかった(共感していただける方、いますよね…)。
- YouTube:日本語も英語も両方。タブレットは英語設定にしてあるけど、 日本語のゲームもガンガンする。
- 英会話教室:通っていません。ハーフの子でも通わせてる人、いそうな気はします。たぶん、いるんでしょう。 うちは通っていません。
つまり、 「家のなかでパパが英語で頑張ってる」以外、特別なことはほぼしていない。これがうちの現在地です。
ところで、夫のほうは
子供たちの英語の入り口になっているはずの夫は、 YouTubeで関西弁を独学 しています。
しかも、 関西人ですら使わない関西弁 を使ってきます。「モータープール」(注:駐車場のこと。昭和な関西弁)。
先日、幼稚園で息子が小さな擦り傷を作って、先生が夫に「すみません…」と謝りに来てくださったときのこと。
夫は、 満を持して、にこやかに こう答えました。
「ええねん、ええねん」
先生:「 はっ!めっちゃ関西弁! 」 → 爆笑。
家の英語入口担当は、 着実に関西人化 しています。
正直な現在地
「英語わからへん」と長男が言った夜、私は考えました。
そして、長男に聞きました。
私「あなたはどうしたい?」
長男「日本語がいい」
私「そうか」
それだけ。説得もしなかったし、「いやでも英語も大事だよ」も言わなかった。
夫は、息子たちがいつかアメリカの家族と自分の言葉で話せる日を、心から願っています。
私は、それも分かっています。それでも、5歳と3歳の今は、子供自身の 「日本語がいい」 に、まずは耳を傾けたかった。
答えはまだ出ていません。たぶん、しばらく出ません。
1年後、もう一度この帰り道を歩こう
5歳と3歳。これからもいろんな瞬間がきます。
「英語わからへん」と言った長男が、1年後に何と言うかは分かりません。 明日にはもう違うことを言うかもしれない。それでいいと思っています。
1年後、もう一度この帰り道を歩いて、もう一度聞こうと思います。
そして、 その答えが何であっても、母はたぶん「そうか」と返すんだろう と思います。
追伸:この記事は、英語版もそのうち書きます。「ええねん、ええねん」と「オーさんぽっ」を英語でどう伝えるか、ちょっと震えながら考えています。
これは私たちの個人的な体験談です。子育てや教育の正解はご家庭ごとに違います。