同じ日本の園なのに、こんなに違う。園選びは、たぶんギャンブルです
年少から、全員パンツ登園。トイレトレーニングの進み具合は関係なし。
年少から、強制的にお昼寝なし。
英語と読み書きのドリル。25mプールでの水泳教室には、通知表のようなものまで付いてきました。
これが、大阪で通っていた園です。
そして今、移住先の園では——おむつかパンツかは、その子の成長に合わせます。お昼寝が必要な子は、布団を持っていきます。
同じ日本の園です。
これは、あのときの私たちが読みたかった記事です。
全部読む時間がない人へ(先に結論だけ)
- 大阪の園と、移住先の園。 同じ日本の認可園なのに、方針も対応もまったく違いました
- 国も自治体も制度を整えています。でも 最後に子どもの毎日を決めるのは、目の前の大人です
- つまり園選びは、 ある程度ギャンブルです。第一希望に入れるとも限りません
- インターに通わせても、たぶん同じ。しかも 幼稚園型でも年100万円〜(補助を使っても自己負担は残ります)
- 親にできるのは、 譲れないものを決めておくこと。そして必要なら、話し合いの場を持つこと
- ただし、私たちは ずっと日本に住んでいる国際結婚家庭です。海外から来た家族の壁は、もっと大きいはずです
先に、私たちの立ち位置を書いておきます
このシリーズは、来日したばかりの国際結婚家族が直面する壁について書いています。
でも、正直に書いておきたいことがあります。
私たちは、ずっと日本に住んでいる国際結婚夫婦です。
私は日本で生まれ育ちました。日本語で話せるし、園の書類も読めるし、先生と直接やりとりできます。
海外で暮らしていた家族が日本に来て、子どもが園や学校に通うことになったら—— 私たちが経験したことより、はるかに大きな問題があるはずです。言葉、書類、習慣、常識。全部が同時に来ます。
だからこの記事は、「私たちも大変でした」という話ではありません。 同じ日本の園でもここまで違う、という事実の記録です。
同じ日本の園。でも、こんなに違う
具体的に並べます。どちらが良い園かという話ではありません。ただ、事実として違いました。
大阪の園:
- 年少から、全員パンツ登園(トイレトレーニングの進み具合は関係なし)
- 年少から、強制的にお昼寝なし
- 英語、読み書きのドリル
- 25mプールでの水泳教室(通知表のようなものが渡される)
- きれいな校舎。英才教育に力を入れているアピールは万全で、 親のウケはとても良い
- 生活発表会に、園全体が力を注ぐ
- インフルエンザで休んでいても、前日に担任から電話があり、出席できそうか確認される
今の園:
- おむつかパンツかは、 その子の成長に合わせて
- お昼寝が必要な子は、布団を持っていく
- 動物をたくさん飼っている。自然体験が多い
- 夏は、園庭のプールで水遊び
- 生活発表会は、 欠席した子たち用の別日の発表会がある
同じ制度の下にある、同じ日本の園です。
「残していいよ」と、先生が先に言った
今の園に移って、いちばん驚いたことがあります。
給食について、担任の先生が 先にこう言ったんです。
「苦手な食べ物があったら、残していいよ」
私が子どものころは、 全部食べなさいの文化でした。だから、日本の給食文化そのものが変わってきているのだと感じました。
でも——大阪の園では、そんなことを言われたことはありませんでした。
制度ではなく、その園が、その先生が、そう決めているんです。
泣いて教室に入れなかった日、先生がしたこと
次男が、休み明けにまた泣いてしまって、教室に入れなくなった日がありました。
そのとき先生は、 次男を長男のクラスに連れて行ってくれました。兄弟で一緒に過ごせるようにしてくれたんです。
次の日から、次男は普通に登園できるようになりました。
これは、マニュアルに書いてあることではないと思います。制度でもありません。 その場にいた先生が、そう判断してくれた。それだけです。
でも、それだけで子どもは救われました。
制度はある。でも、最後は目の前の大人しだい
国も自治体も、外国につながる子どもたちのために制度を整えています。ここは正確に書いておきます。
| 誰が | 何を |
|---|---|
| 国(文部科学省) | 制度の枠組みと予算。日本語指導の「特別の教育課程」、 8言語の就学ガイドブック |
| 都道府県・政令市 | スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの配置、24時間子供SOSダイヤル |
| 市区町村(教育委員会) | 就学案内の通知、就学状況の把握、保護者からの相談対応 |
| 園・学校 | 現場の受け入れ。 ここが完全にケースバイケース |
知っておくと役に立つことを、3つ挙げます。
- 就学案内は、本来「向こうから届く」ものです。教育委員会は住民基本台帳をもとに就学案内を通知することとされていて、 使用言語への配慮も求められています。届かない場合、問い合わせる根拠になります。
- 外国籍でも、公立の小中学校に入学できます。教育委員会は、そのことを案内するよう求められています。
- 就学ガイドブックが8言語あります(英語・韓国朝鮮語・ベトナム語・フィリピノ語・中国語・ポルトガル語・スペイン語・ウクライナ語)。来日したての家族に、そのまま渡せます。
そのうえで、現実も書いておきます。
日本語指導が必要な子どものうち、 「特別の教育課程」による指導を受けているのは59.1%。つまり 4割は、受けていません。
制度はある。でも、現場に届くかどうかは別の話です。
(※2026年8月時点。制度の運用は自治体によって異なります。必ずお住まいの市区町村の最新情報をご確認ください)
じゃあインターなら?——年100万円からでした
「合わないなら、インターに通わせれば」と思う方もいるかもしれません。私も考えたことがあります。
調べてみました。
- イマージョン型のプリスクール:年間 約100〜130万円
- 大手インター系のプリスクール:年間 約190〜300万円
- インターナショナルスクール全体:年間 150〜300万円
幼児教育・保育の無償化により、認可外保育施設として届出をしている園なら、3〜5歳児で 月額最大3.7万円(年間最大約44.4万円) の補助が受けられます。ただし 保育の必要性の認定(=保護者が働いていること等)が必要で、給食費・バス代・施設費は対象外です。
安く見積もっても年100万円。補助を最大に使っても、 自己負担は年55万円以上残ります。
わが家には、そんな経済的な余裕はありませんでした。
そして、もうひとつ思うことがあります。 インターに通わせたとしても、結局は対応してくれる大人によって、子どもへの影響は変わるのではないか、と。
(※費用は2026年8月時点の相場です。園によって大きく異なります)
だから、園選びはギャンブルです
はっきり書きます。
保育園も幼稚園もこども園も、 入園するまでが大変です。そして 必ずしも第一希望に入れるとは限りません。
だから、この時期に園へ特別な希望を持ちすぎるのは、あまり良くないと思っています。 「預けられたらOK」くらいの気持ちがちょうどいい。
そのうえで大事なのは、 どんな園になっても、そこでやっていけるかを見極めることです。
これが難しいのは、 駆け引きが必要だからです。子どもを守るための対応は必要。でも、先生たちを困らせる要望をしすぎてもいけない。その線引きは、本当に難しい。
小学校からは、また別の話になります。公立なら 住所で学校が決まるので、どの地域に住むかに大きく左右されます。でも、学校がどうこうという以上に、 家族を取り巻く周囲の人間関係にも影響されると思っています。
自分の譲れないものを、決めておく
私には、保育園・幼稚園・小学校で実際に働いている日本人の友人もいます。
だから思うんです。 いろんな価値観を受け入れて、みんなが納得のいく生活を送ることは、本当に難しい問題だと。
「この園は」「この先生は」——受け入れるか、否定するか。 その価値観も、人それぞれとしか言えません。
そのなかで、親にできることは、たぶんこれです。
自分が譲れないものを、決めておくこと。
そして、それにそぐわない対応や人がいたら、 話し合いの場を設けること。園と話し合うことで道が開けた、という話も聞きます。
同時に、 自分の子どもが実際に何か問題を起こしているなら、その事実も誠心誠意受け入れなければならないと思っています。
そのうえで、これだけは言えます。
子どもにとって最終的な味方は、親であるあなたです。
子どもらしくなった。でも——
今の園に移って、私は非常に満足しています。
一人ひとりの子どもに、柔軟に対応してくれる。子どもたちは、 子どもらしく走り回って、怪我をして、やんちゃもするようになりました。
「良い子にしなきゃ」という殻を破ったように感じます。私としては、大満足です。
ただ——ここで終わらせるわけにはいきません。
子どもたちは、大阪の園を恋しがることがあります。
先生に会いたい、友達に会いたい、と言うんです。
それを聞くと、 子どもにとっては、大阪の園も悪くなかったのだと思います。
だから、こう思うんです。
私も、自分の価値観を子どもに当てはめていただけかもしれないな。
追伸:このシリーズは、日本で暮らす国際結婚家族がぶつかる壁について書いています。第1弾は 家が借りられない話、第2弾は 働きたいのに働けない話 です。長男が「英語が喋れない」と泣いた夜のことは こちら に書きました。
※制度・費用は2026年8月時点のものです。運用は自治体・園によって大きく異なります。必ず最新の公式情報をご確認ください。
これは私たちの個人的な体験談です。子育てや教育の正解は、ご家庭ごとに違います。
参考(公式情報)