大阪を出ました。当て込んでいた補助金は190万円。実際もらえたのは0円でした
期待していた国の移住支援金は、世帯 100万円 + 子ども2人ぶんの加算 60万円 で、合計 160万円。
これとは別に、結婚新生活支援事業で 30万円。
合計 190万円。実際にもらえたのは、 0円 でした。
「40歳です」と窓口で伝えた瞬間、職員さんは静かになりました。
「あぁ」
失礼な反応でも、驚きでもない。「あなたに伝える役回りで申し訳ないです」のあの、日本独特の小さな息遣い。
夫は笑って、私の肩をぽんと叩きました。「気にしないで」
2026年4月、大阪から地方へ。山に囲まれた人口10万人ほどの町。地元の人が、半分自慢で半分忠告で「ここは日本のシベリアだから」と教えてくれる場所です。
5月の今もまだ段ボールは全部開いていません。それでも、既にいくつか分かったことがあります。
全部読む時間がない人へ(先に結論だけ)
- 移住先:大阪 → 山に囲まれた人口10万人規模の町
- 移住時期:2026年4月(執筆時点で2ヶ月目)
- 当て込んでいた補助金:合計約 190万円(国の移住支援金100万円+子ども2人ぶんの加算60万円+結婚新生活支援30万円)
- 実際にもらえた額:0円
- 理由①:国の移住支援金は 東京圏から の移住が対象。大阪はそもそも対象外
- 理由②:結婚新生活支援事業は 39歳以下 が条件。妻は40歳
- 実際にかかった費用:合計 約180万円(引越し・住居初期・家電・電気工事・買い直し全部込み)
- 聞いてなかった想定外:春は熊が庭まで来る。冬は水道が凍る。日本のシベリア
なぜ移住したか
正直に言うと、 息子たちを「予定なし」で外に走らせたかった から、です。
街区ごとに公園が2つ。県内でビリじゃない公教育。8月でも湿った布巾みたいに重くない空気。2人が同時に転んでも家具にぶつからない床面積。
大阪での8年間は本当に良かったです。それでも、「来年あたり」が「やっぱり今行こう」に変わる瞬間が来ます。去年の冬、私たちにその瞬間が来ました。
「家賃も安くなるはず」「補助金で初期費用は和らぐはず」 — いろいろ自分に言い聞かせていました。
0円:2つの補助金が、全く違う理由で消えた話
実際には数週間かけた手続きですが、結論だけ書くと:
2つ申請して、2つとも『対象外』でした。しかも 全く違う理由で。事前に読み込んでおけば防げた話です。
補助金①:国の移住支援金(世帯100万円+子ども加算30万円/人)
地方移住といえばこれ、というやつ。「地方に移住すると最大100万円!」のあの制度です。子ども2人ぶんを足すと、私たちの場合は表面上 160万円 もらえる計算でした。
私たちが見落としていたのは、これが 「東京圏から地方へ」 の制度だった、という点です。東京・埼玉・千葉・神奈川に5年以上住んだ、または通勤していた人が対象。
私たちは大阪からの移住。 大阪は東京圏ではありません。これは知っていました。
でも、自治体の移住案内パンフレットって、「東京圏から逃げてきた人だけが対象です」とはあまり大きく書かれていないんですよね。デカく書いてあるのは 「最大100万円!」 の方。子供がカボチャの横でスキップしている写真と一緒に。
人間の脳は、自分に都合のいいように補完してくれます。
私たちは 最初から対象外 でした。窓口の方は、丁寧に説明してくださいました。
補助金②:結婚新生活支援事業(最大30万円)
こちらは、結婚した夫婦の新生活を後押しする国の制度を、自治体が運用するもの。
「新婚」の定義は意外と広めです。婚姻から数年以内ならOK。私たちはこれは確認していました。
確認していなかったのは、 年齢の上限。
- 夫婦ともに 29歳以下 で結婚:最大 60万円
- 夫婦ともに 39歳以下 で結婚:最大 30万円
- どちらかが 40歳以上:0円
私は40歳。
「あぁ」と窓口が静まり返って、夫が「気にしないで」と肩を叩いてくれた、あの会話でした。夫の笑顔はありがたかった。 30万円はそれでも30万円 でしたが。
(※2026年5月時点。実際の運用や金額は自治体ごとに異なります。最新の要件はお住まいの自治体公式情報でご確認ください)
実際にかかった費用
引越しの見積もりが返ってきた日、印刷した紙をキッチンカウンターに置いて、私は別の部屋に行きました。夫が出勤前に、それを手に取りました。
眉が上がりました。裏面に間違いがないか確認していました。裏面に間違いはありませんでした。
「なんでこんなに高額なの?アメリカではビール飲みながら、友人数人でやるよ。食事をふるまったりして、お金は払わない」
私は黙っていました。言うことが何もなかった。日本の引越し文化へようこそ。お揃いのユニフォームを着た見知らぬ人々が、お皿1枚ずつにオーダーメイドのクッションを巻く世界です。
実際の内訳:
- 引越し代:約50万円
- 住居の初期費用:約30万円
- 家電・電気工事・ネット引越し・食費・調味料・日用品の買い直し:約100万円
- 合計:約 180万円
夫の名誉のために言うと、 「引っ越し業者」 という日本語は覚えました。 「業者にビールを直接渡してはいけない」 も学びました。
引越しのラスボス
5歳と3歳の息子が2人。荷造りした段ボールはアスレチック、カッターナイフは私の親力への挑戦状でした。
荷造り2週目には、 片手で段ボールを詰め直しながら、もう片方の手でテープを幼児の髪の毛から優しく剥がす という、地味だけど独特な技を身につけていました。
私は自惚れていました。 「移住、意外といけてるかも」 と思っていました。
引越し3日前、午前7時。夫がふつうにキッチンに来て、ふつうに言いました。
「あのグレーのスーツ、どこだっけ?」
スーツは、封をした段ボールの中。封をした段ボールは、封をした段ボールの山の一番下。封をした段ボールは、全部テープが貼ってありました。
夫はカッターナイフを見つけました。
荷造り破壊モンスターのラスボスは、子供たちではなく、夫でした。
2ヶ月経って
冬はまだ見ていません。地元の人は、自慢半分・心配半分のような顔で「ここ、日本のシベリアだから」と教えてくれます。「春は庭に熊が来るよ」とも。熊は季節限定らしいです。水道凍結は、たぶん通年扱いです。
2ヶ月で、気づいたこと:
- 家賃が大阪の 6万円/40㎡ から、ここでは 6万円/60㎡ に。同じ金額で1.5倍の広さ。
- 息子たち2人とも、保育園で永遠にループしていた風邪のリレーから離脱した。空気のせいか、子供の密度が低いせいか、原因は分かりません。とにかくありがたい。
- 入居初日、5歳が居間に入って一言:「綺麗。広い。いいなあ」。3歳がしっかりうなずいて承認しました。
2ヶ月で移住の良し悪しを語るのは、早すぎるのは分かっています。冬を越していません。夏も越していません。新しい園での個人面談もまだです。
1年後にもう一度聞いてください。そのときには、本物の感想が出てきます。
同じことを考えている国際カップルへ
過去の自分に伝えるとしたら、3つです:
- 補助金の細かい字を、移住前に読む。特に「移住元」「年齢」「所得」の3つ。表に大きく書いてある金額は、 だいたいあなたがもらえる金額ではありません。
- 子供への補助は別に確認する。保育料、給食費、医療費の助成 — これは 自治体によって全然違います。1回の移住補助金より、長期的にはこっちの方が効きます。
- 役所に「移住担当部署」があるかを、移住前に確認する。ある自治体は、あなたのことを既に考えてくれている自治体。ない自治体は、まだ整備中の自治体。
補助金はもらえませんでした
2ヶ月経って、カッターナイフはこっそり高い棚に上げました。息子たちは公園で吊り橋を見つけて、エベレストだと思い込んでいます。夫は 「回覧板」 という言葉を覚えました。引越しトラックを見ると、今でもちょっとびくっとします。
もし同じことを考えている人がいたら、応援しています。 細かい字を読んでください。大きい字より、自分の電卓を信じてください。
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追伸:1年経ったら、続編を書きます。冬の話、初めての個人面談、そして熊との距離感。
これは私たちの個人的な体験談であり、金融・税務アドバイスではありません。